症例7
左鎖骨骨折
はじめに鎖骨骨折の定型的転位は、中枢骨片は胸鎖乳突筋により上方へ、末梢骨片は三角筋前部繊維と鎖骨下筋により前内下方へ転位します。 今回、当院において骨折の断面積の小さい横骨折でしかも末梢骨片が捻転している骨折を経験しましたので、整復と固定について考察を加え報告させていただきます。
年齢 14歳男性
受傷日 平成12年1月5日
負傷原因 柔道の稽古中に受身をした際に肩より落ち負傷初診時症状 腫脹 疼痛、運動制限、変形
12年1月5日受傷時中枢骨片は上方転位
末梢骨片は前内下方転移
横骨折、短縮転位
1月8日整復固定後
整復は不充分で骨折端に
軟部組織が挟入している疑いあり
再度整復を試みる
1月15日午前 1月15日午後
1月22日
末梢骨片の捻転変位が気になる
骨折端に綿花をあて圧迫を強くする
2月5日 受傷31日目
骨折部の動揺は少なくなってきた
3月4日

4月1日 受傷87日目 

上腕外転位でのx-p

4月1日 
運動痛 関節可動異常無し

経過良好にて治癒

固定具
固定包帯
治療後の動作の確認
おわりに
骨折の転位が大きくなお骨折の断面積が小さい為固定が非常に困難でした。
保存的治療か観血的治療が最良か迷いましたが、本人、家族の希望もあり保存的治療を試みました。 当初、患者の体型(満型で猫背)や筋力により全く中枢骨折片と末梢骨片が寄らず苦労しました。 今回、このような骨折を経験して固定による持続的な整復法と安静固定の困難と重要性を痛感しました。
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